どこかにビューーン!で行く美酒県山形の旅ep.04「男山酒造の見学と…」

 山形市内には少し早くついていた(どこかにビューーン!で行く美酒県山形の旅ep.03「山形市内に移動し各種チェック」 6月 27, 2023)ので、市内で寄り道をしつつ、男山酒造の見学時間が14:30だったので丁度の時間に酒造に向かいました。

場所は宿をとった十日町からは徒歩10分くらい南下したあたり、駅前から歩いても15分かかるくらいの場所にありました。

ホテルのある十日町から南下して行き、住宅地の中にある交差点を右に折れると程なくして大きなタンクなどが見えてきます。
大きなタンクもあるので石量もそれなりにある酒造なのか?気になりますね。
タンクの工業的な感じとはまた別に母屋は昔ながらの佇まいです。
やまがたレトロ館という案内もついていましたが、この表示は他では見かけなかったでしょうか。色々この先も伝統的な建物などはみかけましたが。
それでは、いざ酒造見学に参らん。事務所の入り口で事務員の方に声をかけて、案内をしていただくスタッフの方につないでいただきます。

たくさんの施設を見せていただいたんですが、施設の見学順も含めて、日本酒造りは大きく分けて以下のような工程になっていて、
・お米の処理(玄米から精米して、水に浸し給水させる浸漬、そしてお米を蒸して蒸米をつくる)
・麹(こうじ)を作る
・酒母(しゅぼ)をつくる・・・麹と蒸米を使って
・醪(もろみ)・・・麹・蒸米・水・そして酒母を加えて発酵させて
・上槽(じょうそう)・・・袋にいれた醪を搾ることで酒粕と分離
・澱引き
・ろ過や火入れ・・・必要に応じてろ過や加熱することで酵母の動きを止めて品質を安定させて
・加水・・・アルコール度数の調整をして
などの工程を経て瓶詰されて出荷される感じで・・・まあ複雑ですが、

今回の見学工程は

・お米の処理の作業部屋
・麹を作る部屋
・酒母をつくる部屋
・醪を仕込むタンクのある部屋

を中心に見せてもらいました。ほぼ全行程に関わる施設をみたので非常にボリュームのある見学です。
蔵の入り口には、新酒鑑評会の受賞歴などが掲示していて、酒造りにおいての実績の多さなどが分かります。何年も連続で金賞受賞するのはそれなりに困難を極めるところだと思います。

■まずはお米の処理をする作業場から

そして、設備の見学、縦型の精米器。ここは自家で精米している。そこそこの規模だと精米は委託していたりする場合が多いのですが、いきなり精米機があり驚きました。

という話をしたところ、「やはり細かいコントロールなどは自家で行った方ができるため自家製米している。」とのこと、酒未来という米だけは外部で精米しているらしいです。
日本酒にする酒米は外から磨いていって、中心部分の何%が残っているかの%が精米歩合の数値になります。

山田錦はやはり兵庫県産(一番の品質の産地)で35%まで精米しているので非常に細かい。

※鑑評会での金賞受賞などを目指す際などは「YK35」(ワイケーサンゴー)という一つの目安みたいなものがあって、Yは山田錦を使いKは熊本酵母を使い35は精米歩合35%ということです。

コメの中心の心白(しんぱく)が大きく割れにくく細かく精米できる山田錦で、吟醸の香りを出しやすい熊本酵母、そして35%まで究極に磨くことで薫り高いインパクトのあるお酒が造れるので、鑑評会などに出品する際の目安になったと思われます。
山形の酒造好適米の出羽燦々(でわさんさん)も。山形で開発されて、基本的に山形だけで使用されていて、県内で最も多く生産されているとされていて、山形の日本酒のラベルを見るとよく見かける酒米です。これは50%の精米歩合ですね。
そして、この精米された酒米のサンプルが入っている缶が、もやしや屋のもので(種麹を販売する業者をもやし屋という)こんな入れ物で種麹(たねこうじ)が販売されているんだと驚き、思わず買って撮影。種麹は蒸した酒米に振りかけて麹をつくっていくものですね。
縦型の精米器のメーカーはチヨダというメーカーだということが分かります。この中を米が回転するようです。新しように見えますが、数十年たっていてメンテナンスとかもけっこう施しているらしい。
ちなみに、お米を磨いていくのに35%の精米の場合で三昼夜、普通酒などは一晩時間がかかるらしいです。千俵のうち400は糠になるようでそれらは飼料にまわしたりとかするようです。

そう考えると、やはり日本酒は贅沢なつくりをされている高級品に思えてきます。精米された後は袋にいれて枯らし(精米したての米は熱を帯びていたり水分の分布が均一でないので一定期間放置する)の作業があるようです。
精米器の制御を行う部分、左側に精米場合の数値が並びます。こんな機会だとは初めて知りました。
そして、精米器の横には二つの釜が。
普通お米を蒸すための甑(こしき)に利用する釜が一つかと思うんですが、片方は熱湯で作業に使う道具などを殺菌するために利用するそう。衛生管理は酒造りには必須ですが、これは便利なようです。
精米されたお米は浸漬して水分をふくませますが、この大きな容器は普通酒などに使う米用、吟醸などの規格は当然秒単位の管理なのでこのような容器は使わないようです。大吟醸で6分、普通酒で20分だそうです。
これは蒸した後の米の方冷機、上がコンベアのようになっていて、そこにお米を広げて通して放冷するんだったと思います。
精米機から浸漬、お米を蒸す釜から放冷機などは、同じ作業部屋の中にありましたがここから次の場所に移動。外に出ると麹室(こうじむろ)に蒸した米を運ぶパイプも見えます。
タンクなども老いでありますが、この横の建物に入っていきます。

■麹をつくる段階

麹室(こうじむろ)を見せてもらう。麹室はデリケートな作業などをする場所なので、なかなか見せていただける機会も少ないので貴重な機会になりました。

作業のスケジュールを説明いただきましたが、
・10時に引き込み(ひきこみ)・・・蒸したお米を運び込み、温度を一定にして、
・台の上に広げて36度の温度でもやしを振るとのことです。(もやしはさっきのもやし屋の間に入っていたと思われるものですね。)
・32度弱で包んでそのまま夕方に
・もう一度広げて調整

・翌日「盛り」をする。盛りは・・・麹の増殖が盛んになり、そのままだと温度が上昇しすぎるので、麹蓋(こうじぶた)あるいは麹箱(こうじばこ)に分配して温度管理しやすくする。台の上に見えている小さなものが麹蓋ですね。)
初日は菌糸を中に(食い込ませる)、二日目は乾燥させる
・36度で中仕事(温度が上がりすぎないように蒸米全体をよくかきまぜる)
・仕舞い仕事39度であつくならにいように・・・(中仕事の後6~7時間後に麹の温度を調節、余分な水分をとばすために蒸米を広げて表面積を広げる)

という工程のお話をききました・・・改めて説明しろいわれるとさすがに勉強してきていても日本酒づくりの工程ってすっごく複雑なので()の説明は今回調べなおしました。

とにかく、麹をつくるためには温度管理などが重要でこれだけデリケートな作業が集中して行われるわけであり、酒造りに携わる人たちにはけっこう重労働な作業になると思います。

ちなみに、大吟醸は蓋麹(ふたこうじ)一升ずつ盛って麹造りということで、台の上においてある蓋に盛ってつくっていくようです。普通種などは右側の容器でもっと大量で作業をすすめるようです。

■酒母をつくる部屋に

設備は新しく見えますが、これでも40年くらいたっているもののようで新しくはないとのことでした。
そして、解放式のタンクのある部屋に。小さなタンクが並ぶので「酒母室(しゅぼしつ)」ですね。
前日に水を汲んで、朝に麹米を入れて水麹をつくる。
乳酸は速醸(そくじょう)とのこと(酒造りで腐敗を防ぐために乳酸が必要になりますが、天然の乳酸ではなく、すでに人工的につくられた乳酸を添加する方法)
水麹は11度
仕込んで18度
開放タンクなので乳酸を添加
2日目まで温度を下げて、その後上げていく
アルコールを十二%くらいまで到達させるのに12から14日くらいかかるようです。

速醸っていう話をしましたが、そうではない山廃(人工的につくられた乳酸を添加せず自然界に存在する乳酸を取り込む)の場合は30日かかるようです。

麹・蒸米・酵母・水が一緒に仕込まれ、純粋で健全な酵母菌を大量に含む手簿が出来上がっていきます・・・とありますがこれはとで調べたら冷却器が入っている状態のようです。

■醪を仕込むタンクのある部屋

こんどは大きな仕込みタンクのある部屋に。
酒母室でつくったものを酛下げ(もとさげ)、この施設は段差があるのでホースで移すとのこと、確かに酒母室はこの部屋の隣ですが、少し高い位置にありました。
恐らく、これがそのホースをつなげる管ですね。

そして、ここではタンクに、水と麹を入れて三段仕込み(醪を仕込む際、蒸し米と麹、水を三回にわけて、酵母に加える製法・・・一度にすべてを加えてしまうと酸や酵母の活性が弱まってしまうので少しづつ分けて行うんだった・・・はず)を行っていくので、初添えから作用が始まります。

三段仕込みは・・・これは日本酒の勉強で順番とかをよく覚えましたが、
・初添え(はつぞえ)・・・醪造りの第一段階。タンクに酒母、麹、水を入れておき、次に蒸米を投入する。
・踊り(おどり)・・・初添えの翌日、一日何もせずに酵母の増殖を待つこと。
・中添え(なかぞえ)・・・踊りの翌日、さらに麹と蒸米、水をタンクに投入する
・留添え(とめぞえ)・・・仲添えの翌日、最後の麹と蒸米、水を入れること。

この蔵では、2人でタンクに”かい棒”を入れて温度を平均になるようにする作業をしているとのことです。手作業が入っているとは思っていませんでした。

そして、22日から30日分析しながら温度調整していき、18度までアルコール度数が上がるとのことです。

そして、これは圧をかけてもろみを絞っていくヤブタ式の自動圧搾ろ過機。これは様々な酒蔵でみかけるもので、今は何も入っていませんが、袋にいれた醪をこの機会の中にいれて、搾っていくものです。
ボトリング(瓶詰)のライン、ここは瓶詰めの前に火入れ(熱処理して酵母の働きをとめて品質安定させる)がされるらしい。
パストライザーは火入れの機会ですね。ここで施設の見学は終了。・・・すごくボリュームがあったし、ここまで詳しくご案内いただけるとは思っておらず、圧巻でございました。
施設の外には、一升瓶などを運ぶ用のピー箱たちが並んでいます。

■見学の後は試飲

さて、詳細な見学の後は、試飲をすることに。男山な「からい酒」は定番の一つ。からい酒・・・といっても単純に辛口なお酒というのではなく、コメの甘味もほんのりのっており、かつほどよく飲み口がスムースで・・・これはスタンダードだと思うとともに、個人的に僕の好みのタイプのお酒です。
この他、季節酒の無濾過純米原酒の生酒も。生酒も好きなんですが、火入れされていない分、冷温管理で運ばないと、酵母が生きている分変質してしまい劣化してしまうので、持ち帰りを考えると断念。試飲したところでは、きれいな酒の作りですが、無濾過で生で原酒ということもあって、ある程度酸もありますし、味わいも濃く、アルコールはそこまで強くは感じませんでしたが、ボディのあるタイプの酒に見えました。

つららぎは美山錦らしい、やはりどこか優しい味わいです。
一番右側の「壺天」までいくとやはり大吟醸、香りの広がりとどくとくの甘やかさ、そしてきれいながらもボディがあり飲みごたえがあります。
今回はやっぱりからい酒が好みにハマってこちらをお買い上げしました。ちなみにやっぱりここは男山酒造は羽陽男山の銘柄で男山と冠しているわけですが、前回10月に陸奥男山をつくる八戸酒造でもきいていたことで「男山とつく銘柄はルーツが近江」ということを確認してみたら、やはりここ羽陽男山もルーツが近江からきている酒造とのことです。まだまだ全国に男山とつく酒造はあるので、更にそちらも探訪したいものです。

充実した見学を終えてホテルにチェックインできる時間になったので、いったんホテルに戻って、こんどは七日町の市街地をチェックしがてら本格的に飲みに出かけようと考えたのです。
早めから回転しているほっとなる横丁に出向いてみました。
いろいろお店はあったんですが、自酒とかご当地のメニューがあって、早くから空いているお店はなんだか混雑していたのでこの時は退散することに。

水の町屋「七日町御殿堰」にも顔を出してみるも、お蕎麦屋さんなどはこの時間あいておらず。

・・・そして、睡眠時間2時間半とかで出発して一日観光で歩き回ったことがたたったのか、片頭痛が出てきて・・・「これは本格的に今日飲み歩くのはできないかも」という予感もあり、ホテルの近くに戻って至近の居酒屋で軽く食事して終わらせようと思ったのもすでに時遅し。

ビジネスマンやらで早い時間のピークが来ていて18時前には満席で入れない店続出・・・他に軽く食事できそうな場所を探すも・・・山形市内ってご当地の物をいただこうとすると、食事は大体炉端焼き系か焼き鳥しかなく・・・ヘヴィーなものが食べられなさそうなので、少し町中を徘徊したあげく・・・

片頭痛が悪化してきたので居酒屋どころか夕飯を断念。

なんと、ホテルに戻り19時過ぎにはシャットダウンしたのでした。

正直明日体調悪いとせっかく予約しているワイナリーの見学などをパーにすることになるのもあり・・・いろいろあきらめて寝ました。

毎回無理をして時間を切り詰めて旅に出ることが続いていましたが、それがたたったのは初めてでした。


それでは、次は二日目ワイナリーの見学などめいっぱいの一日になります。

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